研究課題
アマゾンの二次林に不法占拠をするブラジル土地なし農民コミュニティを対象に、森林資源や農業生産に利用される土地が最貧困層の人々の生活基盤にどう関与するかを調査した。占有権を得ていない侵入後4年の若いコロニーと、占有権を取得後約15年が経過した古いコロニーを対象に、農林業による生産量や家計収支等についてインタビュー調査および参与観察により情報を収集した。若いコロニーではほぼ釣鐘状の人口分布をしていたのに対し、古いコロニーでは中年層を欠く人口分布であり、古いコロニーでは第二世代がコロニー外へ流出した可能性が示唆された。両コロニーともに入植前の職業で農業経験を持つ割合は少なく、持っていたとしても植栽や下草刈り等の単純労働であった。若いコロニーでは一人一日1ドル以下で生活する極度の貧困に分類される世帯が20%存在し、古いコロニーの農作物による販売収入は若いコロニーの8倍であった。支出の内訳では、教育・農業投資・肉以外の食糧・余剰について有意な差が認められ、特に教育と農業投資では約10倍の差が生じていた。作物種の把握と特徴として、若いコロニーでは種数が1-10または30以上の世帯では農作物の販売収入を挙げていなかった一方、古いコロニーでは現金収入が無い世帯は栽培種数が11-20種の世帯のみに出現した。作物種は、1.多くの世帯が多く植える長期作の商品作物、2.多くの世帯が少数植える自家作物、3.少数の世帯が少数植える嗜好品または薬用作物が両コロニーで観察されたほか、4.若いコロニーでのみ少数世帯が多く植栽する市場流通の少ない作物や材が確認された。また、若いコロニーでは市場価値の高い長期作物はまだ結実に至っておらず現金収入を生み出していなかった。この結果から若いコロニーでは、作物の特性を考慮して植栽種や数を決定出来なかったが現金収入の有無や自家作物の収穫に影響したと考えられる。
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The Proceedings of the International Workshop on "Incentive of Local Community for REDD and Semi-domestication of non-timber Forest Products"
ページ: 117-730
Proceedings of The 2nd International Conference on Sustainable Future for Hunan Security
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