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2012 年度 実績報告書

アフリカにおける低強度紛争の動態理解と平和構築に関する人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22710253
研究機関長崎大学

研究代表者

波佐間 逸博  長崎大学, 国際連携研究戦略本部, 助教 (20547997)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワードレイディング / 平和研究 / 牧畜 / 政治的暴力 / 個体性
研究概要

研究目的にそってアフリカの紛争での「敵」の実体化、ローカリティにもとづく社会関係が平和実現に果たす役割を解明した。第一に、外部社会による対象地域の表象が実態と乖離し、多様な社会の共存のあり方が根底からゆらいでいる。たとえば、銃の除去を目的に実施されてきている軍事介入は、地域の生活が直接的で大規模な政治的暴力にさらされる状況をうんでいるが、そのよりどころは、牧畜社会にたいする破壊的な戦闘性という認識である。この認識は、「未開な戦士文化」としての東ナイロート牧畜民をめぐるステレオタイプと、2000年前後になってクローズアップされてきた組織暴力の現代的イメージがまぜあわされたものである。第二に、集団間の同盟と敵対の関係性は、個々の具体的な経験をふくむ状況におうじて柔軟にくみかえられ、同盟関係は空間的な近接や共住経験の共有にもとづく。別の民族集団がいままさに牧草地やキャンプ地を共有しているという当座の文脈を重視する現実的な姿勢は一貫しており、民族集団などカテゴリカルな全体集団の闘争はみられない。第三に、「敵」は過去の喪失をもたらした略奪者として表象され、「敵」への憎悪や復讐心によって集団を統合させる意味は希薄で、レイディングの発生リスクが高い場所での放牧に関与する人びとに、防衛の人的な役割配置を徹底して遂行するうえでの警戒心と対策の必要性を強く認識させる機能がある。最後に、集団間の紛争の契機となるレイディングは家畜獲得の主要な方法であり、獲得した家畜は、略奪者集団の内部で一次的に分配され、それぞれの集落への帰着後、二次的に分配される。レイディングの一次分配でえた個体の数は、他者から入手する方法のなかで最多であり、見返りを期待しない贈与である二次分配の対象には友人や隣人が含まれ、家畜群をレイディングによって奪われた者への救済としても贈与され、分配の範囲は民族集団の境界をこえる。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 牧畜家畜の個体性とのコンタクト―北東ウガンダ牧畜民カリモジョンとドドスの事例から―2013

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 雑誌名

      生態人類学会ニュースレター

      巻: 18 ページ: 5-9

  • [雑誌論文] 北東ウガンダ東ナイロート社会における牧畜家畜と人間の共生的関係に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 雑誌名

      京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士論文

      ページ: 1-376

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ウガンダ北東部カラモジャにおける武装解除の実施シークエンス2012

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 雑誌名

      アジア・アフリカ地域研究

      巻: 12(1) ページ: 26-60

    • 査読あり
  • [学会発表] 北東ウガンダ東ナイロート社会における牧畜家畜と人間の共生的関係に関する研究2013

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 学会等名
      2012年度日本文化人類学会近畿地区研究懇談会・博士論文・修士論文発表会
    • 発表場所
      国立民族学博物館
    • 年月日
      2013-03-30
  • [学会発表] 武装解除される牧民の実践―北東ウガンダにおける非人間化システムからの解放のために2012

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 学会等名
      日本文化人類学会第46回研究大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2012-06-23
  • [学会発表] カリモジョンの牧畜と健康の現状2012

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 学会等名
      日本ナイル・エチオピア学会第21回学術大会
    • 発表場所
      京都大学稲盛財団記念館
    • 年月日
      2012-04-22
  • [学会発表] Resonance of Creative Visions in Poetic Language among the Karimojong

    • 著者名/発表者名
      Itsuhiro Hazama
    • 学会等名
      The Second ISA Forum of Sociology Social Justice and Democratization 1-4, August 2012
    • 発表場所
      ブエノスアイレス大学
  • [学会発表] 北東ウガンダ,カリモジョンにおける病いをめぐるライフヒストリー

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第49回学術大会
    • 発表場所
      国立民族学博物館
  • [図書] 松田素二・津田みわ(編)『ケニアを知るための55章』「33章 ケニアの交通事情―ナイロビの乗り合いバスの運行主体と利用客」pp.192-1962012

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 総ページ数
      376
    • 出版者
      明石書店
  • [図書] 松田素二・津田みわ(編)『ケニアを知るための55章』「50章 日本人駐在員の暮らし-学振ナイロビの「成果」の舞台裏」pp.314-3192012

    • 著者名/発表者名
      波佐間逸博
    • 総ページ数
      376
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2014-07-24  

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