研究課題/領域番号 |
22710258
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
朴 祥美 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特任准教授 (50508447)
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キーワード | 地域研究 / 東アジア / 文化政策 / 近現代日本史 / 日韓関係 |
研究概要 |
本研究は、日本文化政策史をトランスナショナルな文脈から再考し、一国に独特な現象に見える「文化」というものが実は他国との関係から「政策」として形作られていくものであることを明らかにする。以下は、H23年度に実施した研究成果の概要である。 まず、主な成果は、単行本(和文)の出版に向かったマニュスクリプトの初稿がほぼ完成したことである。昭和期の中でも占領期・戦後日本の文化政策について焦点を当て、関係文献を分析した。全章の構成や論調、内容については、すでに作業を完了しており、H24年度は、日本語の文面を修正し、本文を脚注や参考文献と照会するなど、さらに綿密な校閲を行う。 また、単行本には収まりきらないその他の研究成果を国際学会で口頭発表した。毎年北米で開催されるThe Association for Asian Studiesに参加し、討論者とオーディエンスから大変有益な情報を収集した。同学会の参加者の中には、韓国からの研究者も多く、韓国の学会で発表することを提案された。具体的日程については調整していくが、本研究には、日韓の文化政策の比較の視点も重要な位置を示しており、韓国学界からの意見を得ることも、渡韓の重要な目的である。 さらに次のような単行本の出版のための共同研究に参加しているが、本年度はその完成に向かった執筆活動を引き続き行う。こうすることで、個人の研究だけでなく、協力研究者との連携を形成する。(1)朴祥美「コンタクト・ゾーン」「トリックスター」吉見俊哉ほか編『現代社会学事典』凍京:弘文堂、2012年刊行予定)、(2)朴祥美「韓国群山市-日常の歴史を写すミュージアムとしての地方都市-」石田佐恵子外編『ポピュラー文化ミュージアムとは何か-文化の収集・展示をめぐる政治経済-』(東京:ミネルヴァ書房、2012年刊行予定)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)単行本のマニュスクリプトの初稿作成、(2)学会発表、(3)資料調査、(4)共同研究、など、本研究の進展のための研究活動がバランスよく行われてきており、こうした活動をH24年度にも引き続き行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、単行本(和文)の執筆作業を引き続き行い、出版の完成に持ち上げる。 また、上記で述べた、H23年度に行った国際学会での発表成果をまとめ、英文ジャーナルに投稿する。たとえば、The International Journal of Cultural Policy、The Journal of Japanese Studies、Modern Asian Studiesなどの査読雑誌が投稿候補として考えられる。その実現に向かって、英文の原稿を作成し、ネイティブによる校閲を行う。 尚、H24年度にも、国際学会に参加できるよう、発表用の論稿を別途、作成する。
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