研究課題/領域番号 |
22710260
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮下 敬志 立命館大学, 文学部, 助教 (50509346)
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キーワード | 近代史 / アメリカ合衆国 / フィリピン / インディアン / アメリカ先住民 / 帝国主義 / 教育史 / 先住民史 |
研究概要 |
本研究の最終目的は、20世紀前半の環太平洋地域において列強諸国((1)米国・(2)英国・(3)日本)の植民地政策が地域を超えて転用されていた可能性を、先住民統治政策の分析から明らかにすることである。本研究の分析対象は、A・先住民土地政策、B・先住民学校教育政策、C・先住民処罰過程(刑法)である。 これをふまえて、今年度は、(1)米国と(3)日本を主な分析対象としながら、両地域の植民地諸政策のうちB・先住民学校教育政策の分析を主に行った。 8月までは、米国の先住民統治政策のうち、米国本土とフィリピンとにおける先住民教育政策に関する資料分析を進め、両者の関連性を探った。具体的には陸軍関係の資料、先住民学校教育関係の資料、万国博覧会に関連する資料を収集・調査し、そのデータをまとめた。これらの成果の一部は、12月に立命館史学会にて報告した。 夏期は、20世紀前半の日本におけるアイヌ統治についての調査を行った。現地調査では、北海道のアイヌ教育とアメリカ先住民教育との影響関係について、筆耕資料及び新聞資料などを使いながら収集・分析した。その成果の一部については、12月に文化史学会にて報告した。 9月からは、アメリカ史学会にての研究報告を踏み台にしながら、各地のアメリカ先住民学校に関する詳細な分析をさらに進めた。主に学校行政資料や学校新聞などを読み進め、学校に来訪した外国人・要人に関するデータベースを作成した。この成果については、その一部を用いた論文を、次年度に査読誌に投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の研究期間において、(1)米国・(2)英国・(3)日本を対象に分析を進める予定を立てた。そのうち、米国と日本については2年間の研究でほぼ必要な資料を収集し、論文にまとめられる段階に入った。英国圏(カナダ・オーストラリアなど)については、来年度の調査となるが、予定しているエフォート率をキープすれば、来年度内に完了できる目処が立っているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始当初の計画との相違点としては、2012年の9月から2013年の3月にかけてアメリカ(ペンシルベニア)にて客員研究員として在外研究の予定が入ったことがあげられる。 これについては、予定していた資料収集などについて現地図書館に長期滞在して行えるため、研究課題の達成についてむしろメリット性があると考えている。研究成果についての論文を執筆するにあたっては、日本等の他地域に関する研究については、あらかじめ9月までに資料をまとめてしまうことで対応できる。また、入手資料のポータブル化をすすめ、滞在先でも主立った資料を利用・参照できるようにしておく。
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