本年度は、3年間の科研の研究期間の最終年度となった。3年前に計画した当初の予定では、日本のアイヌ政策・植民地政策に関して研究する予定であった。しかしながら、平成24年9月から平成25年3月まで本務校の学外研究でアメリカ・ペンシルベニア大学に渡航することが、前年度に本務校から申し渡されていたために、日本の政策に関しては前期に、後期は、当該課題のうち、アメリカ先住民に関する部分(土地政策・教育政策・法制度)について調査するよう計画変更を行った。ただ、その分、アメリカ側の資料から、アメリカ先住民政策の日本のアイヌ政策への転用について調査することができ、前者の研究(日本)についても、より研究が深まったと言える。 今回分析した歴史資料について具体的に言えば、前期には、主に吉田巌関連資料、『台湾学事調査復命書』の一部の調査・翻刻や、アイヌ教育者小谷部全一郎に関する新聞資料の調査を行った。後期は、ハンプトンインディアン学校とカーライルインディアン学校の資料や、アメリカ連邦政府資料の分析を行った。 一方、予定していた台湾植民地に関する歴史資料調査は、前述の学外研究のため、吉田巌関連資料以外の調査について、基礎的資料の分析にとどまっており、これは今後の研究課題となる。 これらの研究成果については、平成25年度中に学術論文を執筆する予定である。そのほか、6月のアメリカ学会、9月のアメリカ史学会にて、研究実績を報告することが決まっている。
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