外国籍(フィリピン)女性の当事者コミュニテイ活動について継続的にフィールドワーク調査を行った。コミュニティの定期的な会合やイベントに参加し、必要に応じて運営に協力した。日常的な活動のひとつである相談対応に参加して、DV被害を受けた女性のヒアリング、病院や官公庁への相談の同行等も行った。必要に応じてインタビュー調査を行い、当事者の経歴、ライフコースや意識を探った。これまでのインタビュー調査結果と合わせて比較し、経年的な変化を調べた。 とくに、当事者たちの法廷闘争に着目し、画期的な判決を出した国籍法改正裁判について調査した。当事者(原告の母)たちのインタビュー調査と、支援団体(NGO)のインタビュー調査を行い、裁判の経緯を調べた。その上で、この闘争が持った社会的意義を考察した。 以上の調査結果を理論的に検討するため、フェミニズム理論およびポストコロニアル理論の現状を継続的にフォローした。フェミニズム理論についてはポストフェミニズム論および第3波フェミニズム理論を中心として検討した。フィリピン女性たちの流入という意味で現れている日本社会のグローバル化と、マジョリティの日本人女性たちの意識や文化の変化に現れるグローバル化の関連性を探った。 最終的に、ポストコロニアル・フェミニズムとして総合化する視座を模索した。
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