高齢者福祉施設で働く男性ケアワーカーを対象としたこれまでの調査結果から、男性ケアワーカーの多くは比較的強いキャリア意識を持つことやキャリア形成支援が燃え尽きを抑制する可能性が明らかにされてきた。そこで、本研究では、高齢者福祉施設の男性ケアワーカーが、どのようなキャリアを形成しているのか、その経年変化を追い、実際のキャリア形成には具体的にどのような要因が影響しているのか、福祉職場での就労を継続している人のキャリア発達のあり様を明らかにし、男性職員の継続的な就労を可能とするキャリア支援のあり方を模索することを目的とした。研究方法は、質的研究法を用いた縦断的研究であり、本年度は、科学研究費補助金交付の内定時期が10月下旬となったことから、研究期間が4カ月程度になったため、主に調査準備を行った。 まず、調査の実施計画に基づき、調査協力者となるインタビューイー24名の所在確認や調査協力の要請を順次行った。結果として、現在の所在が確認され、調査協力の了解が取れたインタビューイーは13名であり、8名は現在も継続交渉中、3名は疾病等の事情のため調査不可との結果になった。 調査に先立ち、キャリア形成への影響要因と考える項目について、文献研究を行った結果、半構造化面接を行う際の質問内容として、職場組織におけるソーシャルサポート、キャリア支援、役割モデルの存在、専門職教育・研修制度に焦点を当てることが有効と考えられた。質問のアウトラインを作成するとともに、分析準備としてのカテゴリーの作成を行った。
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