研究課題/領域番号 |
22720006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神崎 宣次 京都大学, 文学研究科, 助教 (50422910)
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キーワード | 環境倫理学 / 心理学 / 動機づけ / 持続可能性 / 徳倫理学 / 予防原則 / 農業倫理 / 研究者倫理 |
研究概要 |
本年度は大きくわけて、以下の三つの研究成果を得た。 1)向環境的行動への動機づけの欠如という実践的問題に関連して、倫理学における動機内在主義と外在主義との対立については、少なくとも実践的問題領域においては外在主義的立場をとれば十分ということを、環境心理学や保全心理学での動機づけに関する研究を参照しつつ明らかにした。 2)知的抑圧を受けるリスクを負いながらも環境問題に関わる異議申し立てを行ったリチャード・シルヴァン、ヴァル・プラムウッド、レイチェル・カーソン、シュレーダー=フレチェットといった研究者たちが持っていた個人的な動機づけという問題を提出し、その解明を行った。 3)持続可能な社会を可能にするような人間の心理がいかに達成されうるかを、J.S.ミルの停止状態についての議論、現代の保全心理学での議論、徳倫理学の議論、予防原則についての議論などに基づいて明らかにした。 環境倫理学における動機づけという実践的問題が倫理思想史、現代のメタ倫理学、研究者倫理、そして心理学領域での議論という他領域での議論との間に持つ連関を明らかにしたという意味で、これらの成果は倫理学全般の研究の進展にとって重要な意義を持つものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記したとおり、交付申請書に記載した研究の目的をほぼ遂行した。特に、ワークショップや国際会議での発表を多く行ったことによって、多くの研究者との研究協力関係を築けた点については多くの収穫があったといえる。 ただし、震災によって研究計画に若干の支障が生じたため、自然の内在的価値についての成果の公表は最終年度に行防ことになった、
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今後の研究の推進方策 |
達成度の欄に記したとおり研究はおおむね順調に進展しているので、当初の計画に大きな変更の必要はない。
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