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2012 年度 研究成果報告書

近代のドイツと日本におけるカント平和論の軍国主義的利用とその問題点に関する研究

研究課題

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研究課題/領域番号 22720013
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 哲学・倫理学
研究機関創価大学

研究代表者

伊藤 貴雄  創価大学, 文学部, 准教授 (70440237)

研究期間 (年度) 2010 – 2012
キーワード哲学 / 倫理学 / 思想史 / 平和論 / カント / フィヒテ / 徴兵制 / 世界市民
研究概要

カントは『永遠平和のために』第三予備条項で常備軍の撤廃を主張している。だが戦前のドイツと日本では、国民皆兵制を肯定するカント解釈が主流だった。少なからぬ学者たちが、国民の軍事演習は人間を単なる機械や道具として扱うものではないので倫理的に許される、と主張していたのである。その結果、カント平和論は徴兵制の正当化に利用された。本研究ではこの軍国主義的カント解釈の成立過程を調査するとともに、そうした解釈が妥当か否かを彼やその後継者たちの著作を基に考察した。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2013 2012 2011 2010

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ショーペンハウアー法哲学の成立史-カント・フィヒテの国家契約論との関係2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 雑誌名

      創価大学人文学会編『創価大学人文論集』

      巻: 25 ページ: 49-82

  • [雑誌論文] ヘーゲルとショーペンハウアー--根拠律の社会哲学2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 雑誌名

      日本ヘーゲル学会編『ヘーゲル哲学研究』

      巻: 18 ページ: 102-114

  • [雑誌論文] 近代日本における世界市民の概念史(1)-内村鑑三『基督信徒の慰』2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 雑誌名

      創価大学人間学会編『創価人間学論集』

      巻: 5 ページ: 51-78

    • URL

      http://hdl.handle.net/10911/3357

  • [雑誌論文] カント世界市民論の成立原点しかし、以上とは異なる形でカント平和論 を継承した人々もいたことを忘れてはなら ないだろう。その代表格として中江兆民がい る。『三粋人経綸問答』(1887 年)からは、彼がカント平和論を、一般兵役義務制のよう な徴兵制とは相容れ ないものとして捉えて いたことがうかがえる。また、管見の限りで 言えば、近代日本における「地球市民」「世 界市民」概念の先駆的使用者としては、第一 に内村鑑三、第二に幸徳秋水、第三に牧口常 三郎の三人を数えることができるが、彼らが いずれもカント平和論の影響を陰に陽に被 っているという事実は重要である(論文「近 代日本における世界市民の概念史」)。最後に本研究全体の意義を総括的に述べておく。従来、カント平和論の研究は《ポジティヴな受容史》にばかり焦点を当ててきた。これに対して本研究は、カント平和論の《ネガティヴな受容史》に注目する初の試みである。なお、以前にも、第三帝国期のカント学者たちを扱った研究はあるが、知識人の権力迎合を断罪する表層的な作業に終始してお--『美と崇高の感情に関する観察』再読」、 カント研究会編2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 雑誌名

      現代カント研究

      巻: 12 ページ: 90-110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 永遠平和論の背面--近代軍制 史のなかのカント2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 雑誌名

      東洋哲学研究所編『東洋哲学研究所紀要』

      巻: 27 ページ: 49-62

    • URL

      http://www.totetu.org/assets/media/paper/k027_253.pdf

  • [雑誌論文] フィヒテのペスタロッチ受容2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 雑誌名

      日本ペスタロッチー・フレーベル学会編集『人間教育の探究』

      巻: 22 ページ: 15-35

    • 査読あり
  • [学会発表] 若きショーペンハウアーにおけるカント・フィヒテ法論の受容2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 学会等名
      カント研究会第261回例会
    • 発表場所
      法政大学。
    • 年月日
      2012-06-24
  • [学会発表] 『ドイツ哲学と政治』再読--カント批判を中心に2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 学会等名
      日本デューイ学会第55回研究大会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2011-10-01
  • [学会発表] カント世界市民論の成立原点部分を見落としている。断罪と精算とは異なる。歴史の正しい清算は、未来を眼差すもの でなければならない。本研究は、軍国主義的 カント解釈の歴史を最大限正確につかむこ とで、むしろ、軍国主義的利用を封じる解釈 の可能性を探り、カント平和論の真の射程を 明らかにすることを目指している。しかしながら今回は 18 世紀末から 20 世紀 初頭までのかなり長い期間を調査対象とし たこともあり、受容史の概略をつかむ作業で--『美と崇高の感情に関する観察』再読」2011

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 学会等名
      カント研究会第248回例会
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      2011-01-30
  • [学会発表] Fichte and Schopenhauer in the War of Liberation2010

    • 著者名/発表者名
      Takao Ito
    • 学会等名
      第5回ショーペ ンハウアー・コロキウム(国際ショーペンハ ウアー協会主催)
    • 発表場所
      マイン ツ大学(ドイツ)
    • 年月日
      2010-09-20
  • [学会発表] カント世界市民論の人間学的基盤2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 学会等名
      カント研究会第243回例会
    • 発表場所
      法政大学
    • 年月日
      2010-07-25
  • [学会発表] フィヒテとショーペンハウアーの国家論2010

    • 著者名/発表者名
      伊藤貴雄
    • 学会等名
      第5回三宅アーベント(学習院大学西洋哲学研究会)
    • 発表場所
      学習院大学
    • 年月日
      2010-06-05
  • [図書] 第一時世界大戦期前半部 日本ヘルマン・ヘッセ研究会編訳『ヘルマン・ヘッセ エッセイ全集8-時代批評-』2010

    • 総ページ数
      374

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公開日: 2014-08-29   更新日: 2015-10-20  

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