(1)古代から中世初期にかけての自由学芸についてのシンポジウム(中世哲学会大会において開催)を企画・運営した。シンポジウムの補足資料「ボエティウスと自由学芸」を作成し、配布した。補足資料とこれまでのボエティウス研究の成果をもとにした知見を小論としてまとめ、シンポジウム報告として『中世思想研究』(中世哲学会機関誌)に提出した。 (2)アリストテレスの『分析論前書』とボエティウスの「定言推論について」を読解し、ボエティウスの推論(三段論法)概念についての論文(依頼論文・英文)を執筆中である。ボエティウスの論理学著作は、ポルピュリオスの失われた論理学著作に依拠して書かれたと考えられており、ボエティウスにあってアリストテレスにはない説明の多くが、ポルピュリオスの著作に由来すると考えられる。 (3) 13 世紀後半に書かれた『ニコマコス倫理学』注解の一つを写本で読み、校定版を作成した。この注解では、人間の幸福が「第一原因との結合」という新プラトン主義的な表現で語られている。「第一原因との結合」という表現の下に生じている事態について説明を試みた。この注解の概要と、この注解で展開されている幸福論について、英語で口頭発表を行った。
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