研究課題/領域番号 |
22720034
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
後藤 正英 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (60447985)
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キーワード | ヤコービ / スピノザ / ユダヤ教 / 思想史 / 宗教学 / 国際研究協力 / 国際研究者交流 / 理性 |
研究概要 |
本年度は、本研究の最終年度(平成24年度)に招聘するザントカウレン教授の来日のための準備調整作業を行った。ザントカウレン教授はヤコービ研究の第一人者である。ボーフム大学でザントカウレン教授と直接相談を行うと同時に、来日中にご協力をお願いしている日本国内の研究機関との連絡調整をおこなった。なお、ボーフム滞在中には、ドイツ古典哲学研究所において「京都学派のドイツ観念論解釈史」と題する講演をおこなった。日本のドイツ観念論解釈史には無の概念や主体性の理解において伝統的な西洋哲学におさまらない側面があり、そこにはドイツ観念論におけるスピノザ主義の位置づけに通ずる問題が存在する。 ザントカウレン教授の来日中には、現時点では三つの講演を予定している、第一の講演では、スピノザ主義をめぐる国際シンポジウムで、ヤコービとスピノザの関係について講演していただく。第二の講演では、近代ドイツ哲学におけるヤコービの史的位置づけをテーマとする。第三の講演は、日本フィヒテ協会の特別講演として開催し、フィヒテとヤコービの論争を取り上げる。特に、フィヒテの『人間の使命』がヤコービに対する反論として成功しているのかどうか、という問題について論じていただく予定である。 今年度は、学会発表や公刊された論文では、スピノザ主義研究の現代的意義を広い視野から問いかける際に必要となってくる論点について取り上げた。それは一言で言えば、哲学や宗教にとっての合理主義の問題である。特にヤコービは、スピノザ主義の哲学を合理主義哲学の必然的帰結として理解した。ヤコービとフィヒテの論争からも見て取れるように、合理主義哲学をめぐる問題は、実在論と観念論、体系と自由といった問題群を背景にしながら、最終的には、学問は生をどう捉えるのか、という問いへと収斂していく。その点については来年度の研究において明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定している海外研究者(ザントカウレン教授・ボーフム大学)の招聘計画については順調に準備作業が進行している。平成23年度の交付申請書に記載していた研究成果の発表媒体については予定を変更したので、最終年度に調整を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
海外研究者(ザントカウレン教授・ボーフム大学)の招聘計画については、今後も、講演を開催する予定の各種研究機関との連絡調整を行いつつ、万全の態勢で準備を進めたい。学術雑誌(大学研究紀要も含む)での研究成果の発表も積極的に行う予定である。
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