本年度は、研究代表者の科学研究費補助金による研究成果として「雨森芳洲と誠心外交」と題する論文(2013年3月公刊)と杉田敦著『権力(思考のフロンティア)』(岩波書店、2000)を韓国語翻訳し、韓国幹林大学校日本学研究叢書として出した(2013年8月公刊予定)。また、研究代表者や研究協力者が定期的に意見交換を行なう日本思想史研究会に合計15回、東アジア思想文化研究会に合計13回、立命館大学コリア研究センター月例研究会に合計8回参加し、研究代表者を含めた日本在住、および海外の研究者からの報告が行われ、東アジアにおける知のネットワークに関する多様な論点について理解が深められた。そして、10月6日~10月7日に福岡大学で開催された第63回朝鮮学会大会および、11月10日~11月11日に朝鮮大学校で開催された朝鮮大学校朝鮮問題研究センター設立1周年記念シンポジウムに参加し、研究者・院生と意見交換を行った。さらに、5月11日~5月13日には韓国高麗大学校で開催された東アジア文化交渉学会第4回国際学術大会に参加し「16世紀心学思想の展開と藤原惺窩」と題する研究報告を行い、近世東アジアにおける知のネットワークについて研鑽を深め、相互の議論を行った。これらと並行して、東京・福岡・釜山において対外関係・交流史跡フィールドワーク、および最近の対外関係についての研究書等、史料・書籍の蒐集を行った。特に今年度は日本朱子学の二大学派の一つである海南学派の発祥地であり、日本思想史・東アジア交流史において欠かせない地域である高知へののフィールドワークおよび資料収集を行った。また、これまでに蒐集された史料、研究書の整理と分析を進め、それをほぼ完了した。
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