本研究では、レコンキスタ期(711-1492年)のイベリア半島北部のキリスト教圏の美術、とりわけ写本芸術を中心的に扱った。イスラーム、ユダヤ教といった異宗教のみならず、ローマ教皇庁やフランス由来の修道士たちも、同じキリスト教徒(カトリック)とはいえある時点まで異なる典礼や文字を用いており、ときに半島のキリスト教諸王国と政治的意図が対立したことなどから、同地の異文化交渉はきわめて複雑な様相を呈したことを事例研究を通して分析した。 また、研究方法に関して、非欧米圏でかつ西欧中世研究が行われている中南米の研究者らと一定程度、問題点を共有し得ることがコロキウムへの参加などを通して確認された。
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