以下の作品調査を行い、高精細画像を収集した。1)九州国立博物館にて「病草紙」(3面)・「九相図巻」(1巻)・「九相詩絵巻」(1巻)の熟覧と撮影、2)チェスタービーティライブラリーにて「浄土宗過去帳」(1冊)の熟覧、3)岡山県立博物館にて「西大寺縁起絵巻」(1巻)の熟覧を実施した。以上の調査で得た材料に基づき、典拠経典と絵巻詞書と絵画画面の対応関係に関する分析、経説と仏教説話との接点に関する分析、中近世絵巻における中国版本利用に関する分析を行った。 また、本研究課題の成果公開の一環として以下の論文を執筆した。1)Food for Good or Evil: Buddhist Precepts and Food as Depicted in Medieval Japanese paintings(『共立女子大学文芸学部紀要』59、2013年1月)、2)鳥羽炎魔天堂の場と造形(加須屋誠編『仏教美術論集4 図像解釈学―権力と他者』、竹林舎、2013年4月)、3)経から絵巻へ―経説絵巻の詞と絵(『説話文学研究』48、2013年発行予定)。なお、2013 Association for Asian Studies Annual Conference(2013年3月24日、米国・サンディエゴ)において以下の内容で口頭発表し、その内容に基づく論文を現在準備中である。The Ban Dainagon emaki as a Buddhist Parable(仏教説話としての「伴大納言絵巻」)。 さらに、上記の研究内容の普及を目指し、一般雑誌へ以下の記事を発表した。1)死への想像力―九相図がつなぐ、過去と現在(『芸術新潮』2012年10月号、新潮社)、2)六道の情景―「地獄草紙」「地獄草紙」「病草紙」(村重寧監修『別冊太陽 日本のこころ201 やまと絵』、平凡社、2012年10月)。
|