平成22年度では彫刻文化財の修理で必要な作業である記録・図化、材料の積算、補作・復元といった工程で有効と考えられる3D技術を検討し、以下の観点からその可能性を見極めるとともに有効な使用方法を調査していった。 ・基礎データ作成のための表示手法 修理において作業者が求める図面作成するために、なるべく汎用的なPCソフトウェアを選定し、その機能を十分検討することにより有効な表現手法を判断した。また立体視といった立体認識において有効であると考えられる新たな表現方法においても検討を行った。 ・材料の積算手法 実際にPC上で大きさを測定し、必要な材の積算手法を検討し、不規則な自由曲面を持つ彫刻文化財から正確な体積、表面積をより効率よく算出することが可能になった。 ・欠損、亡失部分に対する補作、復元 CG制作で使用されるブーリアン変換(立体形状における集合論)を用いることで雌型をつくるといった型取り作業をPC上で行うことができ、逆にこの技術を応用して、部材の欠損部分を埋めるための補作部分の3Dデータの作成手法を検討した。そのためにはデータ処理上クリアしなければならない点がいくつか見出され、次年度以降の課題とした。
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