本年度は、本研究の基礎的研究として、本研究の材料となる森田流能管の古楽譜の所蔵調査を行って、古楽譜の所蔵に関する現存調査、収集と資料批判を中心に作業を進めた。 森田流能管の古楽譜の所蔵に関しては、現存状況といった基礎的なことすら十分に明らかになっているとはいえない状態である。そのため、古楽譜の所蔵先を実地調査して現存状況を把握し、古楽譜を網羅的に収集して資料批判をしていくことが、基礎的研究として非常に重要な意味を持ってくると考えられる。 具体的には、数多くの能楽関係史料を所蔵する早稲田大学演劇博物館や、法政大学能楽研究所(鴻山文庫)、国立国会図書館、国文学研究資料館、等の首都圏の公共機関を中心に資料調査を進めた。所蔵機関に現存する森田流の古楽譜の現存状況を調査し、データベースソフトを活用して、古楽譜の所蔵、著者、編者、成立年代、書写年代、写本と版本の別、装丁、寸法、などを整理した。調査した古楽譜のうち、とくに重要であると考えられたものについては、紙焼き写真の形で収集を行った。また、調査の過程で、萩市博物館(山口県)に、森田流能管の有力家であった由良家にまつわる多くの古楽譜が所蔵されていることも分かった。今年度は日程の理由に拠り実施調査することができなかったが、来年度には萩市博物館を実際に訪れ、重要な資料についてはデジタルカメラなどで撮影を行うなどして収集し、丹念な資料調査を行っていく必要がある。
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