研究は、東南アジア手工芸品のマイクロインダストリーの経営モデルを構築するものである。マイクロインダストリーとは、個人或いはコミュニティー単位の手工芸品産業である。タイ北部、ミャンマー、ラオスの手織物産業のフィールド調査により市場へのアクセス度合い及び、経済的発展度合いの違いによるマイクロインダストリーの成功事例収集により、地域的文化的差異を超えた普遍経営モデルを抽出した。 2012年度は、6月に広島大学東広島キャンパスにて行われた日本文化人類学会第46回研究大会にて発表を行った。発表では、マイクロインダストリーのモデルを市場へのアクセス度によって提示し、それぞれに最適なマイクロインダストリー経営モデルの仮説を成功例を通じて提示した。マイクロインダストリーを作り手と仲介者とにわけて論じ、作り手においては、効率化、市場を見極めた作り方、デザインが重要であることを示した。仲介者は、織物の背後にある文化的、神話的、社会的背景あるいは薀蓄を提示することが重要であるということを先行研究を交えて論じた。その後、8月にバンコク国立図書館にてタイのメインストリームの布に関する図書の閲覧による資料収集およびタイ北部チェンマイのカレン族の自家消費用の手織物産業の市場化に努力するマイクロインダストリーをたずね情報を収集した。
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