研究課題/領域番号 |
22720064
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
浜野 志保 千葉工業大学, 工学部, 助教 (90550666)
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キーワード | 写真史 / 心霊写真 / 念写 / スピリチュアリズム / 疑似科学 / 視覚文化史 |
研究概要 |
申請者はこれまで、視覚文化史的な観点から、心霊写真や念写といったパラノーマル写真の研究を行ってきた。これは、不可視の対象を視覚化する表象の在り方にこそ、写真というメディアを近代視覚文化史の流れの中に位置づけるための手がかりがあると考えられるからである。本研究では、このようなパラノーマル写真の事例を、イギリスでの現地調査によって収集し、視覚文化史的観点から分類・分析することで、網羅的かつ体系的なパラノーマル写真の発展史を編成するものである。これにより、「視覚化」の概念を軸とする近代視覚文化史とパラノーマル写真の展開を関連づけると同時に、写真というメディアの性質に関する新たな視点を提示したいと考えている。三年間の研究計画の二年目にあたる23年度は、ロンドン大学図書館Harry Price Library所蔵の文献資料(パンフレット、写真、書簡、新聞・雑誌の切り抜き)を中心に、調査を行った。調査範囲については、22年度は写真に関するものに限定していたが、23年度は透視・物質化・テレパシーなど、スピリチュアリズムにおける諸々の物理現象(physical phenomena)等についても含めた。これは、パラノーマル写真についての本質的な理解を深めるため、周辺事情についても調査する必要が生じてきたためである。以上の成果については、『パラノーマル写真史(仮題)』として24年度内に青弓社より刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究成果の中間報告となる著書を23年度中に刊行する予定であったが、現地調査によって得た資料の整理・分析に予想以上の時間がかかってしまい、いまだに準備中のままである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は「写真と疑似科学」というテーマを掲げ、19-20世紀の写真を中心とする調査・分析を行ってきた。調査を進める内に、写真というメディアにとどまらず、19世紀以降の可視化(visualization)に関わる技術全般についての研究が必要であるということが明らかになってきた。
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