本研究は、十九世紀から二十世紀にかけて数多く作成されたパラノーマル写真(心霊写真、エネルギー写真、念写など)の歴史的背景を、主に視覚文化史の観点から明らかにすることを目的としている。22年度および23年度には、ケンブリッジ大学図書館のSPR Libraryおよびロンドン大学図書館のHarry Price Libraryに所蔵された、各種のパラノーマル写真および近代スピリチュアリズムに関連する一次資料の調査を行った。これらの成果をふまえ、24年度は、20世紀のドイツ国内およびドイツ語の出版物を網羅的に所蔵するドイツ国立図書館ライプツィヒ館(Deutschen Nationalbibliothek)において、ドイツにおける心霊研究および疑似科学に関する一次資料の収集を行った。調査の中心となったのは、19世紀末から戦間期にかけてドイツ国内で流行したダウジングと筆跡学に関する一次資料である。ドイツの心霊研究、特にダウジングと筆跡学に関しては、22年度および23年度の調査では、ほとんど資料を収集することができなかった。したがって24年度の調査は、本研究計画の最終年度にあたって、これまでの調査の不十分な点を補完することを目的としていた。研究成果については、日本超心理学会・第418回月例研究会(「X線写真とパラノーマル写真」2012年11月12日)および日本心霊科学研究協会・月例公開講演(「写真とエネルギー」2013年4月29日)において発表を行ったが、資料の整理が当初の計画よりも遅れてしまい、論文として発表するには至らなかった。前年度までの研究成果とあわせて、25年度中に著書として刊行するべく準備中である。
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