研究課題/領域番号 |
22720069
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
上田 学 早稲田大学, 演劇博物館, 助手 (80546143)
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キーワード | 芸術諸学 / 近・現代史 / 地域性 / データベース |
研究概要 |
本研究は、映画館プログラムという一次資料にもとづいたデータベースの構築と運用を通じて、いかなる文化的複合性と結びつきながら、無声映画期に日本映画の映像表現が確立していったのかを明らかにするものである。2011年度は、演劇博物館が所蔵する資料を中心に、映画館プログラムの追加調査、データ採録を引き続きおこなうとともに、前年度に所蔵状況を調査した他機関(東京国立近代美術館フィルムセンター、太田市立新田図書館、神戸映画資料館)での実地調査およびデータ採録を進めた。上記のデータを、前年度に作成したデータに加え、さらに先行研究を中心とした文献資料をもちいて、採録したデータの統整合も実施した。これらのデータを活用しつつ、無声映画期に日本映画の製作拠点としての地位を確立した、東京と京都に焦点を絞り、両都市における映画興行の差異について比較研究をおこなった。その結果、無声映画草創期の東京と京都における映画館の機能が、同時代の映画興行において異なる特色を有していたこと、それが都市空間における劇場との地理的配置と深く結びついていたことを明らかにした。その成果の一部を、単行本『日本映画草創期の興行と観客東京と京都を中心に』および招待講演「Modern Cities and Filmmaking in Japan around 1910:Differences Between Tokyo and Kyoto」等のなかで公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
映画館の興行形態に関する基盤的研究を実現するための核となる、データベースの構築について、データの収集、統整合は順調に進んでいる。また、データベースを運用した研究成果も着実に出ている。
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今後の研究の推進方策 |
映画館プログラムの実地調査をおこなった機関が限定されているため、来年度は映画館プログラムを所蔵する、実地調査の対象となる機関を増やし、データに多様性を加えることを予定している。
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