1年目(平成22年度)の目標としていた、琉球古典楽器「三線」の楽譜である「工工四」の画像処理(テンプレートマッチングの技術を利用)による自動認識に成功した。認識結果は、本研究で提案しているテキスト形式へ変換し、更にMIDIデータへと変換、これにより「工工四」から「五線譜」への自動変換が成功した。入手した50以上の「工工四」をコンピューター内に画像(3508×2480ピクセル)として取り込み、自動認識実験を試みたところ、平均で97.8%の認識率が得られた。また、「五線譜」をMIDIデータ化したものを、「工工四」を表すテキスト形式のデータに変換し、更に「工工四」の画像データを出力できるようになり、「五線譜」から「工工四」への自動変換も可能となった。これにより「工工四」と「五線譜」の間の相互自動変換が可能なシステムを構築することができた。現段階では、「工工四」のマス内の文字の認識とマス上の文字の認識まで可能となったが、小弾、打音、列弾、掛音等、複雑な表記には対応できなかったが、今後、これらにも対応する予定である。この研究は学部生4年次の卒業研究として指導し、結果を卒業論文としてまとめることができた。 2年目(平成23年度)から、他の邦楽器へと拡張するため、箏奏者である宮西希先生に研究協力を依頼し、今年度は学生を対象に実演を含むワークショップを開催することができた。
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