本年度は、インド、デリーにおいて手工芸に関する現地調査を実施した(平成25年1月23日~2月14日)。デリーにおいては、年に1度開催されるインド最大規模のインド手工芸祭の調査をおこなった。インド手工芸祭には、インド中からクラフト制作者や染織品の作り手自らが店を出し、その数は1000店舗以上になる。そのため、インド全体の染織品の現状をつかむのに最適な場所である。ここでは、インド手工芸祭の組織や運営、インド手工芸の領域における染織品の役割や位置づけなどを把握した。 またこれまで、グジャラート州の女神儀礼布の制作現場における伝統的技術の継承や作り手個人の創意工夫について研究をおこなってきたが、今回は都市部におけるその販売の様子、とりわけ販売者がどのように販路を獲得しているのか、買い手がなにを求めているのか、モノがどのように流通しているのかなどの調査をすることができ、おおまかな動向を把握することができた。 成果公開については、論文として『国立民族学博物館研究報告』の査読誌に投稿し、掲載された。また民族藝術学会大会をはじめ各種講演にてその成果を公開した。
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