研究計画に従い、本年度も関西および西日本におけるメディア検閲に関する調査・考察を行うとともに研究成果について学会および学会誌にて報告を行った。また、研究対象であるGHQ/SCAP検閲関連資料を所蔵している、アメリカ合衆国メリーランド大学図書館ゴードン W. プランゲ文庫(Gordon W. Prange Collection)に赴き、原資料の調査にあたった。 まず昨年度中に調査・考察した雑誌『みなと』に関する研究成果について、京都教育大学国文学会において平成24年7月28日に報告を行った(発表題目:「GHQ占領下における地方の文学活動とGHQ/SCAP検閲」)。さらにその報告をもとに、『京都教育大学国文学会誌』(第三十九号、平成25年3月刊行)に研究論文を発表した(論文題目:「「満州文学」のゆくえ――GHQ/SCAP検閲と地方雑誌の調査を踏まえた考察」)。 また、新たな調査も国立国会図書館(東京本館)憲政資料室所蔵のプランゲ文庫にて行い、関西地方発行のメディアに対する検閲について調べた。さらに、メリーランド大学図書館ゴードン W. プランゲ文庫において、日本国内では確認することのできない原資料の調査やGHQ占領下に刊行された書籍に対する検閲実態調査を行った。この調査では、国内には存在しない被検閲書籍のほか、国内に所蔵されているマイクロフィッシュではとらえきれない検閲指示(書き込み)やそのレベル差を確認することでメディアへの検閲実態をより詳細に調べるとともに、地方刊行メディアの発行部数や検閲記号などについても調べた。
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