研究課題/領域番号 |
22720096
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
井田 太郎 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (20413916)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 俳諧 / 和歌 / 草花図 / 琳派 / 近世文学 |
研究概要 |
俵屋宗達・尾形光琳などで知られる〈琳派〉と文学の関連性を追求した。その草花図の受容層である京都の公家や町方が関連する書物を調べることによって、未解明の文化圏の実態把握に努めた。一人でできる作業ではないので、アルバイトを雇用してデータ整備を行った。このテーマは〈琳派〉の描く植物のみならず、当時の植物観にまで及ぶ大きなテーマである。文学と絵画で扱う植物の違いもおぼろげながら、みえてきた。 また、後年、江戸の地で大々的に展開した酒井抱一・鈴木其一という〈琳派〉の後継者たち(俗に江戸琳派と呼ばれている)の動向を上記の〈琳派〉と比較検討対象として調べた。最近出現した数々の絵画や関連資料の熟覧のため、米国ニューヨークで行われた酒井抱一と門人たちの大展覧会(ジャパンソサエティ)と〈琳派〉の展覧会(メトロポリタン美術館)に赴いて、知見を深めた。 これらの作業を効率的並行させたことによって、諸方面への人脈や、生まれた絵画や文学や動向などが若干明らかになってきた。それらを生かし、絵画と文学がいかに相互触発の関係にあるかを把握することに努めた。 酒井抱一と鈴木其一については、これまであまり重要視されていなかったパトロン、知られていなかったパトロンなども把握でき、研究は進捗をみた。文学圏の実態把握は次年度も継続して行う。後世における〈琳派〉の草花図受容の歴史も検討対象とし、再評価に備え、その背後に展開していた言説にも迫りつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作品の所蔵が動いていたりし、それらを探すのに若干手間取りはしたが、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
同時代の絵画関連資料・文学関連資料をなお網羅的にみて、本課題の最終年度を迎える。
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