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2012 年度 実績報告書

ラフカディオ・ハーンの仏教観形成と〈近代仏教学〉

研究課題

研究課題/領域番号 22720097
研究機関公益財団法人中村元東方研究所

研究代表者

佐々木 一憲  公益財団法人中村元東方研究所, その他部局等, 研究員 (80508515)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワードラフカディオ・ハーン / 小泉八雲 / 〈近代仏教学〉 / オリエンタル・ルネッサンス / オリエンタリズム
研究概要

平成24年度は当初申請時の計画では実施3年間の報告書を兼ねた出版物の製作に充当する予定であったが、ある商業出版社から、当初計画していた「ハーンの仏教関係主要作品の訳注研究」よりも広い範囲で、本プロジェクト全体の研究成果を網羅する内容の出版物を刊行してみないか、との話を頂いたため、成果の公表はそちらに譲ることとし、用意していた翻訳に関しては私家版に留めることにした(この点については、昨年度の研究実績報告書に記載した通りである)。
本年は〈近代仏教学〉成立の状況について、より掘り下げて研究した。それにより、ヨーロッパにおける(あるいはヨーロッパ人が主導した)インド仏教の再生の過程が、19世紀初頭から20世紀中葉までの間に活発化したインド独立に至るインド国内でのナショナリスティックな運動、また、独立以後、インド国内の最下層階級民(アウト・カースト)の階級闘争に、正負、両方の側面で大きな影響を与えていたことが分かった。
加えて、間接的ながら、後にパキスタンの分離独立の精神的バックボーンとなった、M.イクバルによる、インド・イスラム教徒のアイデンティティという思想を準備する上でも、〈近代仏教学〉研究の進展は影響力をもったと考えられる。
最先端の文明国民として広義のインド(南アジア世界)に足を踏み入れたヨーロッパ人が、眼前の未開人・ヒンドゥー教徒の宗教よりも、仏教の方をより高等な宗教と捉え優先的に研究したことが、現地人を刺激し、様々な思想の興起を促したのである。従って、当時のインド思想界のダイナミックな動きの背景には、近代ヨーロッパ人特有の宗教観があったということができる。
その点を図らずも著作を通じて浮き彫りにして見せてくれたのがハーンであった。ハーンの仏教的な作品は、日本の民衆の素朴な信仰との比較のなかで、西欧人が再構築した近代仏教に潜在する西欧的な偏向を垣間見せてくれるのである。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)著『涅槃』IV ―邦訳と註記―2013

    • 著者名/発表者名
      前田專學・佐々木一憲
    • 雑誌名

      東方

      巻: 第28号 ページ: 327-342

    • 査読あり
  • [学会発表] 西洋の「仏教発見」とアジア仏教文化圏の出現2012

    • 著者名/発表者名
      佐々木一憲
    • 学会等名
      東方学院・酬仏恩講合同講演会
    • 発表場所
      法相宗大本山 薬師寺
    • 年月日
      20121201-20121201
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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