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2012 年度 実績報告書

米文学におけるボーディングハウス研究およびドメスティシティの概念構築に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 22720110
研究機関駿河台大学

研究代表者

増田 久美子  駿河台大学, 現代文化学部, 准教授 (80337617)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワード米文学 / 19世紀アメリカ合衆国 / ドメスティシティ
研究概要

本研究は、「ボーディングハウス」という社会的・文化的・建築史的現象を立脚点とした19世紀アメリカ文学のテクスト分析を通し、ドメスティシティという概念の構築および同概念による19世紀アメリカ社会の文化形成について、綿密に検討することを目的とした。従来のドメスティシティ研究は、その基盤となる女性の領域(「家庭」そのもの)の表象を分析対象としてきたが、これに対し本研究は「家庭」の対立項としてのボーディングハウスに着眼した。とくにアンテベラム期におけるボーディングハウスが表象されている個別の具体的資料や、テクストの分析・検証を通して、アメリカ的家庭の普遍性や限界を浮き彫りにし、ドメスティシティがさまざまな文化的政治性を有しうることを論証した。
2011年3月に発表した論文「ボーディングアウトする女、家庭にしがみつく男--(反)ボーディングハウス小説におけるセアラ・J・ヘイルのドメスティック・イデオロギー」(『アメリカ研究』第45号)において、本研究代表者は「自由労働と女性」がドメスティシティと密接にかかわっているという新たな視点を得た。そこから分析対象を南北戦争期の「ポートロイヤルの実験」に参加したローラ・タウンの日記・書簡へと拡大し、黒人女性と賃金労働の問題がドメスティック・イデオロギーとどのように関わっていたのかを検証するに及んだ。さらに、アンテベラム期の黒人男性作家フランク・ウェッブの作品『ゲーリー家と友人たち』(1857)における黒人独自のドメスティシティを再考する機会を得て、それが白人ドメスティシティに対する反定立的提示であることを示した。これらの研究を通じ、従来、中流階級の白人女性のテクストを中心に検証されてきたドメスティシティ研究において、人種・階級・ジェンダーを横断した幅広い分析を行う可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ドメスティシティの模倣と懐疑--『ゲーリー家と友人たち』における家庭的人種暴動2013

    • 著者名/発表者名
      増田久美子
    • 雑誌名

      言語社会

      巻: 7 ページ: 293-310

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 消されたエリナの賃金--ハリエット・ビーチャー・ストウとローラ・タウンにみる黒人女性の家内賃金労働をめぐって--2012

    • 著者名/発表者名
      増田久美子
    • 雑誌名

      駿河台大学論叢

      巻: 45 ページ: 55-75

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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