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2011 年度 実績報告書

9.11同時多発テロ以降のイギリス小説

研究課題

研究課題/領域番号 22720116
研究機関中京大学

研究代表者

板倉 厳一郎  中京大学, 国際教養学部, 准教授 (20340177)

キーワードイギリス文学 / テロ / 暴力 / 多文化主義 / ポストコロニアリズム / ポストモダニズム
研究概要

本研究の目的は、9.11同時多発テロ以降のイギリス小説(たとえば、イアン・マキューアン『土曜日』)などが多文化社会と暴力をいかに表象しているかを探ることである。とりわけ(1)9.11以前のテロ表象(たとえば、ジョーゼフ・コンラッド『密偵』)や同時代の他言語文学(ヤスミーナ・カドラ『テロル』)と比較して暴力表象がどのように異なっているか、(2)新左翼思想や多文化主義政策への幻滅がどのように作品の世界観に影を落としているか、という2点を明らかにする。平成23年度は、イアン・マキュアーン『土曜日』とパット・パーカー『ダブル・ビジョン』を中心に研究した。現代文学作品は評価も変わりやすいため、作品論などの二次資料を網羅的に収集し、批判的に検討するだけでなく、国際学会などにも積極的に参加するようにした。特に平成23年9月にオックスフォード大学マンスフィールド・コレッジで開催された学会では、『土曜日』をコンラッド『密偵』と比較した研究発表をしたのみならず、9.11について文学研究者以外の発表を聞き、意見交換ができたのは大変有意義であった。なお、この研究発表は論文として電子出版される予定である。さらにこの研究を発展させ、『土曜日』に見られる、過剰とも言える理性的なものへの信頼、非理性的なものへの恐れを分析した新しい論文を準備中である。また、『ダブル・ビジョン』における暴力表象の倫理について平成24年9月の学会での発表を予定いる。なお、昨年度執筆したサルマン・ラシュディ『道化師シャリマー』論はイタリアの雑誌Illuminazioniに掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

雑誌掲載や論文集の電子出版に時間がかかっており、出版が遅れている。また、2011年度は別プロジェクト(文化・文学研究の単著教科書の出版)に予想以上の時間を使ってしまった。別プロジェクトは終了したため、国内での雑誌等の媒体を通じての発表をおこなえば解決できると考えている。

今後の研究の推進方策

今後は、当初予定していた研究課題の残りを論文にし、成果をまとめる。まず準備中のイアン・マキューアン『土曜日』論を論文にし、さらにパーカー『ダブル・ビジョン』論を発表する(この学会では口頭発表前に論文形式にして提出することが義務づけられている)。また、当初の計画とは異なるが、『Albion』で依頼されている「研究ノート」にM・エイミスの「失言」問題と9.11以降の文学についての研究成果を公表し、2010年度に口頭発表したゼイディー・スミス『美について』論はハリ・クンツル『私の革命』と比較した別の論文として発表する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] I have become death : Shalimar the Clown and the Post-9/11 Anglo-American Sensibilities2012

    • 著者名/発表者名
      Gen'ichiro Itakura
    • 雑誌名

      Illuminazioni

      巻: 19 ページ: 32-69

    • 査読あり
  • [学会発表] Writing Terror Within : The Role of Science in The Secret Agent and Saturday2011

    • 著者名/発表者名
      Gen'ichiro Itakura
    • 学会等名
      Fear, Horror and Terror 5
    • 発表場所
      英国オックスフォード大学マンスフィールド・コレッジ
    • 年月日
      2011-09-07

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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