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2010 年度 実績報告書

ドイツ・モデルネ文学における幼年時代の記述可能性

研究課題

研究課題/領域番号 22720129
研究機関大東文化大学

研究代表者

岡本 和子  大東文化大学, 外国語学部, 准教授 (50407649)

キーワードベンヤミン / ブレンターノ / 幼年時代 / 言語 / ドイツ文学
研究概要

平成22年度の研究成果は次の四点にまとめられる。
(1)ブレンターノ・アルニムの編纂による民謡集『少年の魔法の角笛』のなかの「子どもの歌」を取り上げ、ブレンターノにおける「子どもの歌」を構成する言語的な原理を、ベンヤミンの理論を参照しつつ、「縮小」と「反復」に基づくものとして明らかにした。(口頭発表済み、研究発表欄参照)。
(2)ベンヤミンにおける蒐集の概念を、ベンヤミンの言語理論との連関から分析した論文を発表した。ベンヤミンは、蒐集家に子ども的な相貌と老人的な相貌を見出している。子どもという蒐家は、事物を既存の魔術的連関から解き放ち、事物の言語を人間の言語へと置き換えるのに対して、老人的という蒐集家は、この蒐集した事物を文字体系として構築し、ここに魔術的な体系を作り出す。この言語体系は、蒐集という行為によって変化してゆく、ダイナミックなものであるということを明らかにした(研究発表欄参照)。
(3)ベンヤミンの理論の新たな読み替えの作業の一環として、ベンヤミンの作品の翻訳を行った(『ベンヤミン・コレクション5』)。担当した作品の一つ「言語社会学の諸問題」の翻訳作業にあたっては、1930年代の言語論に関する資料も調査した。1930年代は、本研究のテーマでもある「子どもと言語」の問題圏を幼児心理学等の観点からも扱った最初の時代でもあり、本研究のために貴重な視点が得られた。
(4)2月にドイツのフランクフルト大学の児童図書研究所にて、ベンヤミンが所有していた子ども関係の図書の調査、ベルリン国立図書館において、18世紀から20世紀初頭までの字習い絵本の一次資料を収集した。日本では入手不可能な資料を得て、次年度以降、ドイツにおける文字学習絵本の歴史・受容の詳細な分析を行うための準備を整えることができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 言語というアーカイヴ-ベンヤミンの「蒐集」をめぐって-2011

    • 著者名/発表者名
      岡本和子
    • 雑誌名

      19世紀学研究

      巻: 第5号 ページ: 57-75

    • 査読あり
  • [学会発表] アルニム・ブレンターノ『少年の魔法の角笛』の『子どもの歌』における子どもと言語2010

    • 著者名/発表者名
      岡本 和子
    • 学会等名
      2010年度日本アイヒェンドルフ協会研究会
    • 発表場所
      慶應義塾大学(日吉)
    • 年月日
      2010-05-30
  • [図書] ベンヤミン・コレクション5(岡本和子担当ページ:159-205,385-420)2010

    • 著者名/発表者名
      浅井健二郎編訳
    • 総ページ数
      617
    • 出版者
      筑摩書房

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公開日: 2012-07-19  

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