本研究は、非言語的な領域である幼年時代の叙述は、子どもの言語獲得を叙述することにほかならない、との認識を得たうえで、次の三つの成果を挙げた。①ヴァルター・ベンヤミンの著作における子どもの言語獲得は、物質に取り巻かれたモデルネの子どもの「模倣」と「蒐集」という行為によってなされていることを明らかにした。②クレメンス・ブレンターノにおける子どもは、言語を学びつつある存在として規定できることを明らかにした。③ベンヤミンの著作の翻訳に携わり、その成果を踏まえて、日本におけるベンヤミン翻訳・受容についての歴史と現況を、ベルリンの芸術アカデミーにて発表した。
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