平成22年度は本研究の初年度にあたる。本年度は、世界英語に関する文献調査をすすめ、アイルランド英語の社会言語学分野における考察を中心に行った。 (1)世界英語に関する文献調査 アイルランド英語がさまざまな英語変種との関係においてどのように位置づけられるかを考察するため、世界英語諸変種に関する文献収集を行った。 (2)アイルランド英語に関する研究 形態統語的諸特徴に対する言語話者の意識について、調査の詳細を含めた考察を論文"What grammatical features are more marked in Hiberno-English?"にまとめた。当該言語話者の"Irishness"と"bad grammar"意識について、その指標の相関の有無に関する考察を論文「言語意識の問題」にまとめた。夏期にはコーク市にて、アイルランド南西部方言のフィールド調査を行った。 (3)学会、研究会への参加および研究発表 2010年5月には、日本ケルト学会東京支部研究会にてアイルランド英語の言語状況および言語接触に関する報告、日本英文学会にてアイルランド英語の言語的性質と話者意識に関する研究発表を行った。7月にはカナダ・バンクーバーにて行われた第16回International Association for World Englishes学会において、アイルランド英語と世界英語という観点から現段階での考察を整理し、研究発表を行った。同学会報告は、2011年3月発行のAsian English誌に掲載された。2010年9月にはノルウェー・トロンハイム開催のLanguage Contact and Change学会において、アイルランド英語のcontact-induced changeに関する研究発表を行った。
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