本研究は、フィールドにおける言語調査に基づいてアイルランド英語の動態的考察を充実させ、世界英語研究への事例的および理論的貢献をはかることを目的とした。 (1)アイルランド英語に関する調査:アイルランド共和国コーク市において、アイルランド英語の接触言語的性質に関してフィールド調査を行った。 (2)世界英語および言語接触に関する文献調査:多様な英語変種との関係におけるアイルランド英語の位置づけの考察のため、世界の英語諸変種に関する文献調査を行った。カリブ海地域のクレオールと英語諸変種の形成環境に関して文献調査を行った。 (3)学会、研究会への参加および研究発表:2012年4月Creolistcs 9学会において、アイルランド英語とクレオールとの連続性に関する研究発表(Hiberno-English as a Link: Is there a possible continuum between creoles and this English dialect?)を行った。さらに、アイルランドとカリブ地域に共通の言語特徴の形成に関する考察をすすめ、11月に研究発表(Exploring linguistic connections between Ireland and the Eastern Caribbean)を行った。2013年3月、第10回東京移民言語フォーラムにて、移民コミュニティの言語を含めた接触言語のおもに生態面での検討を「移民言語とはなにか:接触現象とコミュニティ環境から考える」という題目のもとに発表した。アイルランド英語のdo be形式の文法的属性、形成、話者意識、世界英語との関連について、これまでの考察を論文The do be form in Southwest Hiberno-English and its linguistic enquiriesにまとめた。
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