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2010 年度 実績報告書

意味排除主義と自然言語の規範性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22720149
研究機関東京大学

研究代表者

酒井 智宏  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (00396839)

キーワードトートロジー / 矛盾文 / 主観性 / 規範性 / 最小命題 / ステレオタイプ / 言語的意味 / 言語共同体
研究概要

本年度の研究成果は次の4点である。
第一に、トートロジー「XはXだ」が豊かな主観性を持つのは「XはXだ」の情報量が乏しいためであるとする「主観性仮説」を退けた。主観性仮説は情報量と主観性の測定基準に問題を抱え、この問題を克服するべく仮説を改訂していくと、ついには1980年代のラディカル意味論と同等の意味論に行き着く。この点で、主観性仮説はトートロジー研究を20年以上後退させる非生産的なプログラムであると言える。
第二に、矛盾文「XはXでない」が規範的解釈「Xと呼ばれている対象をXと呼ぶべきではない」を持つのは、(i)その対象がXであるかどうかに関する判断の食い違いが事実認識の食い違いによるのではないとなされ、かつ、(ii)不一致を起こしている他者を話者が自らの言語共同体の成員と見なし続けるときである、ということを示した。
第三に、トートロジー「XはXだ」のすべての用法に共通する字義通りの命題(最小命題)が存在し得ないことを論証した。「XはXだ」は、Xについて何かを述べる事実命題ではなく、語Xの定義を提案するために用いられることもある。我々が常に意味の固定した言語表現を用いてコミュニケーションを行っているという描像は幻想に過ぎない。
第四に、「XはXでない」と「XはXだ」の対立が、言語内論証理論が言うように論証的なものではなく、また、認知意味論が言うように概念的なものでもなく、Xの定義をめぐる言語的なものであり、これらの発話がXの異なるステレオタイプを提案するものであることを示した。ステレオタイプを言語的意味に組み込み、言語的意味の一致を言語共同体の定義に組み入れる近年のステレオタイプ理論によると、これらの発話の話者は異なる言語共同体に属していることになる。我々が常に同一の言語共同体の内部でコミュニケーションを行っているという描像は幻想に過ぎない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] トートロジーの主観性の源泉でないもの2010

    • 著者名/発表者名
      酒井智宏
    • 雑誌名

      東京大学言語学論集(TULIP)

      巻: 30 ページ: 195-215

    • 査読あり
  • [学会発表] トートロジーにおける等質化概念の混乱とその解消2010

    • 著者名/発表者名
      酒井 智宏
    • 学会等名
      日本フランス語フランス文学会2010年度秋季大会
    • 発表場所
      南山大学
    • 年月日
      2010-10-16
  • [学会発表] L'opposition entre X n'est pas X et X est X est-elle argumentative, conceptuelle, ou linguistique? : une perspective de la theorie des stereotypes2010

    • 著者名/発表者名
      Sakai, Tomohiro
    • 学会等名
      Journees scientifiques tuniso-japonaise : La stereorypie
    • 発表場所
      チュニジア共和国マハディア市
    • 年月日
      2010-09-22
  • [学会発表] Against the Minimal Proposition : The Case of X is (not) X2010

    • 著者名/発表者名
      Sakai, Tomohiro
    • 学会等名
      The 3^<rd> One-day Workshop on Pragmatics : Context, Contextualization, and Entextualization
    • 発表場所
      藤女子大学
    • 年月日
      2010-09-09
  • [学会発表] 矛盾文と自然言語における規範性の源泉2010

    • 著者名/発表者名
      酒井智宏
    • 学会等名
      フランス語および日本語におけるモダリティの意味論的研究
    • 発表場所
      筑波大学(招待講演)
    • 年月日
      2010-09-03
  • [備考]

    • URL

      http://tomohirosakai.web.fc2.com/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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