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2012 年度 実績報告書

意味排除主義と自然言語の規範性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22720149
研究機関跡見学園女子大学

研究代表者

酒井 智宏  跡見学園女子大学, 文学部, 助教 (00396839)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワード自然言語 / 規範性 / 矛盾文 / 同一性言明 / 言語体系 / 文脈主義 / 意味排除主義
研究概要

本年度の主要な成果は次の二点である。
(1) 自然言語の規範性の源泉を解明した。矛盾文「XはXでない」は、事実報告(「問題の対象はXと呼ばれない」)として解釈される場合と、規範性言明(「問題の対象はXと呼ばれるべきではない」)として解釈される場合とがある。矛盾文が規範性言明としての解釈をもつのは、(i) 語Xの適用に不一致が生じ、(ii) その不一致が事実認識の不一致によるものではないとみなされ、(iii) 不一致を起こしている他者を話者が自らの言語共同体の成員とみなし続けるときであり、かつそのときだけである。コンディヤックの「二つのまちがい」をめぐる議論をふまえると、事実認識に基づかない判断がくいちがう場面では、当事者が属する言語共同体の存在が浮かびあがってくる。このとき、ウィトゲンシュタインの言う言語(によるコミュニケーション)の成立基盤を回復すべく、言語使用者たちが再び一つの言語体系に収束していこうとする運動が生じ、ルソーの「同胞と憐れみ」の原理により、言語使用の不一致を起こしている他者は「矯正されるべき他者」として立ち現れる。
(2) 複数の言語体系の対立という観点から、a = b 型の同一性言明をめぐるパズルを解消した。同一性言明を事実言明だと考えると、自然言語の固有名が実は固有名ではないという逆説的な結論に至り、文法言明だと考えると、その認識価値が説明できなくなることが知られている。本研究では、a = b 型の同一性言明が、現に使用されている二つの記号aとbのあいだの真理保存的置換可能性を述べる文であるという事実に注目することにより、文法言明説の難点を克服した。文法言明は、それ自体が認識価値を有するのではなく、その規範的力(今後aに関するいかなる命題Pに出会おうとも、Pは、aをbに置き換えて得られる命題Qと同一の真理値をもつ)により、間接的に認識の拡大に寄与する。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 自然災害は天罰か―サン・ピエールが消えた日―2013

    • 著者名/発表者名
      酒井智宏
    • 雑誌名

      『人文学フォーラム』

      巻: 11 ページ: 59-76

  • [雑誌論文] 矛盾文と自然言語における規範性の源泉2012

    • 著者名/発表者名
      酒井智宏
    • 雑誌名

      東京大学言語学論集 (TULIP)

      巻: 32 ページ: 255-276

    • 査読あり
  • [雑誌論文] L’énigme des énoncés d’identité de type « a = b » : Une solution grammaticale2012

    • 著者名/発表者名
      Sakai, Tomohiro
    • 雑誌名

      『フランス語フランス文学研究』

      巻: 101 ページ: 23-37

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Contextualizing Tautologies: From Radical Pragmatics to Meaning Eliminativism2012

    • 著者名/発表者名
      Sakai, Tomohiro
    • 雑誌名

      English Linguistics

      巻: 29-1 ページ: 38-68

    • 査読あり
  • [雑誌論文] トートロジーにおける言語情報と文脈情報の相互作用2012

    • 著者名/発表者名
      酒井智宏
    • 雑誌名

      フランス語学の最前線

      巻: 1 ページ: 187-217

    • 査読あり
  • [学会発表] Le contextualisme est-il une menace pour la compositionnalité ? : Composition et articulation

    • 著者名/発表者名
      Sakai, Tomohiro
    • 学会等名
      日本フランス語フランス文学会2012年度秋季大会
    • 発表場所
      神戸大学
  • [学会発表] La sémantique kaplanienne et la forme -tte en japonais

    • 著者名/発表者名
      Sakai, Tomohiro
    • 学会等名
      第25回東アジア言語ワークショップ
    • 発表場所
      フランス国立社会科学高等研究院
  • [図書] 『トートロジーの意味を構築する―「意味」のない日常言語の意味論―』2012

    • 著者名/発表者名
      酒井智宏
    • 総ページ数
      431 + ix
    • 出版者
      くろしお出版

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公開日: 2014-07-24  

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