研究課題/領域番号 |
22720161
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研究機関 | 群馬県立女子大学 |
研究代表者 |
下地 理則 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (80570621)
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キーワード | 記述言語学 / 危機言語 / 琉球語 |
研究概要 |
本研究の目的は、琉球語与那国島方言の記述文法書の作成である.本年度の「研究実施計画」では(1)現地調査と(2)データ書き起こし、(3)文法概説の出版を主な目標にかかげていた。以下ではそれぞれについて実績を報告する。 (1)夏に与那国島での調査を行い、テキストを3時間程度採録し、さらに例文調査も行った。この調査において、前年度までに収集した既存テキスト資料と合算して十分な量のテキストを収集できたと考えている。よって、今後はこのテキスト資料を主なデータとして文法書の執筆を進める計画を立てている。その点において、(1)の作業の完了をもって、今年度のみならず全体計画における最重要課題をクリアしたといえる。 (2)京都大学において、与那国島方言を研究している山田正寛氏・トマペラール氏と書き起こしのセッションを行って、聞き取り・書き起こしの際の注意点について情報交換を行った。そののち、研究代表者は独自で書き起こしを行うことを中心に書き起こしを進めてきた。書き起こしがまだ完全ではないため、来年度以降の課題としてこの(2)の作業を引き続き行って書き起こしを完了させることを挙げておく。 (3)出版計画中の琉球諸語のハンドブックの共同編集者になり、与那国方言についての文法概説を共同執筆(共同執筆者は上記(2)の2名)している。このハンドブックは2012年中に出版予定である。この概説は英語で書かれ、かつほかの方言と共通の章立てを採用している。章立ては本研究の記述項目とほぼ重なり、その点において本研究の中間のまとめとして機能しているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の目的はテキストの収集と書き起こしであったが、収集については満足のいく結果が得られたものの、テキストの書き起こしが遅れていることから、(3)という自己評価を下した。
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今後の研究の推進方策 |
テキストの書き起こしを本務校近郊に在住の話者(東京在住の話者)と進めるという予定であったが、本務校が群馬県から福岡県に移るという事態が生じたため、今後は福岡ないし近隣の県に在住の話者を探し、テキストの書き起こしをすすめたい。しかし、もし適切な話者が見つからない場合(そしてこれは十分想定できる)、手持ちめテキスト以外のデータリソース(書き起こし済みの既存のテキスト集のデータ、面接調査など)を、当初より積極的た活用したい。
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