研究概要 |
本研究は,日本語と韓国語における<話されたことば>の談話を成す<文>のあり方を,とりわけ文末の表現に注目しつつ,描き出すための基礎研究である.研究実施計画に沿って,1年目は実際の談話を収集し,分析しつつ,とりわけ理論的基礎研究を行った.その研究成果を学会誌『朝鮮学報』に論文「<非述語文>の現れ方とdiscourse syntax-日本語と韓国語の談話から-」(pp.71-121)として発表した.既存の研究で十全たる<文>として位置づけられていなかった<非述語文>を位置づけ,文末の内部構造を解析したものである.こうした<非述語文>の研究に加えて,<話されたことば>を性格づける重要な特徴の1つである<間投詞>による文についての実践的・理論的研究の成果を日韓言語学者会議(麗澤大学)において発表,さらに論文化した.これら研究成果の一部を,韓国語学習教材である『きらきら韓国語』(同学社)に盛り込んだ.2年目は引き続き,談話のデータや資料の収集を行った.とりわけデータの量を増やすことと同時に,分析できうるデータ化を図った.このデータから見られる近年の韓国語の会話の特徴を,DVD book教材である『ドラマティック・ハングル-君,風の中に-』(朝日出版社)に盛り込んだ.2005年度NHKテレビハングル講座(金珍蛾著)をベースとし,本研究の成果により増強したものである.他方で,"〓〓〓〓〓"(『ハングルの誕生』野間秀樹著,東京:平凡社)の韓国語訳を共訳により出版した.本研究にとっても<書かれたことば>を見据えることで,逆に<話されたことば>を照らす,重要な多くの示唆を得ている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に提出した研究計画書とおり,まずは,談話データの収集が順調に進んでいる.初年度と2年目である2011年,韓国語の談話データが確保され,それに加え,論文や教材,翻訳書といった研究成果物も完成し,出版が実現しており,研究は順調に進んでいると評価しうる.
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