研究課題/領域番号 |
22720169
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
A Bugaeva 早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (40550075)
|
キーワード | Ainu / applicative / causative / antipassive / ditransitive / valency classes / anticausative / language documentation |
研究概要 |
当該年度の研究は交付申請書に記載された目的と実施計画とおり行われてきた。 まずは、科研費を以ってフィールド調査によって得られたアイヌ語の音声・映像資料(新いと古い)をデジタル化できた。さらに、このアイヌ話資料コーパスに基づいてアイヌ語動詞範疇に関するの類型論的研究を続けてきた。主に使役、充当、逆受動などの動調の結合価を変更する範疇について、類型論的観点から研究を行ない、2点の小稿にまとめた(1)、(3)。そして、イギリスのRoutledgeから出版されるThe languages of Japan and Koreaの中のアイヌ語についての章の執筆を依頼された(2)。これは今後のアイヌ研究者のためにアイヌ語研究の現状を概観するものである。当該年度に、ドイツ・マックスブランク進化人類学研究所において開催された動詞の意味と構文に関する学会で招待講演を行い.その内容は.ドイツの言語学専門出版社から刊行される論文集に収録されることになっている。国際的な言語学の世界では、アイヌ語文法が持つ数多くの稀有な特徴の指摘によって言語類型論に大きな貢献をもたらした私の研究の独創性が認められつつある。また、国立国語研究所の言語対照研究系で実施している共同研究プロジェクト(複数)にアイヌ話と日本語の比較の観点から参加するとともに,2011年10月には研究所のコロキウム(専門家向け講演会),2012年3月には一般公開の学術フォーラムにおいて日本語で講演を行い、専門家のみならず一般市民国内に役立てる活動も行ってきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載がなかった1点の小稿までまとめられた(2)。しかし、当該年度に、アイヌ語の再起・逆使役を研究爽施するように、再起の言語類型論的な研究を行ってきたロシア人のEmma Geniusiene先生を共同研究者として日本に招待する予定だったが、共同研究者の都合のため招待できなかった。そのために交付申請書には「アイヌ語の再起の論文のdraft作成」と記載されていたが、実施できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度に、アイヌ諸の再起・逆使役を研究実施するように、再起の言語類型論的な研究を行ってきたEmma Geniusiene先生(ロシア科学アカデミー)を共同研究者として日本に招待する予定だったが、共同研究者の都合のため招待できなかった。24年度の9月に改めて日本に招待する計画を立てています。その他に、今後の研究方策には大きな変更はなく、計画とおりアイヌ語資料コーパスに基づいてアイヌ語動同範疇に関するの類型論的研究を続けていきたいと考えている。
|