研究課題
フィールド調査によって得られたアイヌ語の音声・映像資料(新いものと古いもの)をデジタル化し、コーパス構築を進めた。さらに、このアイヌ語資料のコーパスに基づいてアイヌ語動詞範疇に関する類型論的研究を行った。研究代表者は、これまでにアイヌ語のヴォイス(充当、使役、相互など)についていくつかの論文を発表してきたが、本年度は、ヴォイス標識の相互作用やアイヌ語全体の複統語的な性質について研究を行った。1.MPI (マックスプランク研究所) のデータベース“Valency Classes across Languages” の一部として、アイヌ語の結合化クラスのデータベースを公開した。そして、データベースに基づくアイヌ語の動詞結合化のパターンと使役・充当・逆受動などのヴォイス交替による動詞分類について論文をまとめた。2.アイヌ語の動詞は非常に複雑な形態的構造をもち、典型的な複統合的言語とされているが、このアイヌ語の複統合性に関する類型論的研究を行い、国立国語研究所で2月に開催されたシンポジウム(「世界の言語における複統合性」)において、その成果を発表した。3.アイヌ語の名詞修飾構造に関して、日本語との対照研究を行い、アイヌ語の名詞修飾構造が日本語と異なり,名詞修飾句のパターンをとる構造(関係節構造)と,所有句のパターンをとる構造(名詞補文構造)の2つにはっきりと分かれると分析した。これについて国内外で研究発表を行うとともに、2つの論文としてまとめた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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『北方言語研究』第4号
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In: Comrie, Bernard & Malchukov, Andrej (eds.) Valency classes cross-linguistically, Berlin, New York: Mouton de Gruyter.
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In: Matsumoto, Y. & B. Comrie, and P. Sells. Noun-Modifying constructions in languages of Eurasia: reshaping theoretical and geographical boundaries. Amsterdam, Philadelphia: John Benjamins
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第5回『日本語新発見―世界から見た日本語―』
巻: 5 ページ: 29-36
『日本言語学会予言稿集』弟146号
巻: 146 ページ: 34-39
『早稲田大学高等研究所紀要』第6号
巻: 6 ページ: 33-76