研究概要 |
本研究ではまず、計画を進めるに当たって必要となった様々なジャンル(詩・散文・物語・新聞など)のテキストコーパスの収集を行った。その際、詩については一つの言語だけではなく、いくつかの言語(ドイツ語・フランス語・中国語・日本語)のものを収集した。まずは、ドイツ語の詩を音声学的に分析し、一区切りごとにどのぐらいの頻度で音声(発音)グループ(破裂音・鼻音・摩擦音などの調音法)が現れるかを調査した。そしてそこから、音声の相対的頻度とそれぞれの音声グループの割合を割り出した。その調査方法としては、まず、各音声グループの特徴がよく出ているドイツ語の詩を選び、約450人の被験者にその詩を読んでもらい、評価をしてもらった。被験者は詩を読んだ後で、調査用紙に記されたベース(基本)となる7つの感情(Ekman, P.:1992)に基づいてその詩を評価した。この調査結果によると、それぞれのアーティキュレーションによって異なる感情的な顔の表情と、特定の音声が関係しているという事を推測することができる。その後、同様の調査をフランス語・中国語・日本語の詩で行ったが、外国語の音声学的分析上の問題のため研究は難航している。 また、最終年度である昨年度はテキスト内の音声グループや単語グループ(動詞)などの意味内容を分析するためのコンピュータープログラムを新たに開発した。そして上述の被験者アンケート調査・評価に加え、このプログラムも使用しながら、音声と意味の関係についての調査を進めた。
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