幕末の洋学研究教育機関である開成所が刊行した英和辞典や西洋語対訳単語集について、編纂方法や収録語の諸相を新たに明らかにした。例えば、刊本として日本初の英和辞典である『英和対訳袖珍辞書』(1862年刊)については、2007年に発見された草稿を分析することにより、底本のPicard英蘭辞典以外にHoltrop・Hooiberg・Bomhoff・Weilandの英蘭辞典類も利用して訳語が導き出されていたことを指摘した。また、蘭日辞典『和蘭字彙』(1855-58年刊)の日本語部分の全てを電子テキスト化することにより、『和蘭字彙』に見られない『英和対訳袖珍辞書』の訳語の例を示すなどの成果も得られた。
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