前年度までに作成した『太陽コーパス』のラレル文データ,約1300例について,自発・可能・尊敬・非情主語受身・有情主語受身という分類を再整備した。さらに,これらの用例を,動詞のカテゴリカルな意味をもとに再分類した。まず,大きく他動詞か自動詞かで分類し,次いで動作動詞か心理動詞か,動作動詞はさらに変化動詞か無変化動詞かで分類した。ここまでの分類は,全用例について終わっている。さらに,動作動詞の中の変化動詞については,有情者が対象であれば,位置変化動詞(運ぶ等),社会的状態変化動詞(逮捕する等),生理的変化動詞(殺す等),心理的変化動詞(だます等),所有変化動詞(渡す等)に分け,非情物が対象であれば,状態変化動詞(壊す等),位置変化動詞(送る等),所有変化動詞(与える等),作成動詞(作る等),表示動詞(示す等),実行動詞(行う等)などに細分類した。今後,心理動詞についても,知覚動詞(見る等),思考動詞(思う等),言語活動動詞(言う等),提示動詞(見せる等),感情=評価的態度動詞(愛する等),知的態度動詞(見なす等),表現的態度動詞(叱る等),呼称的態度動詞(呼ぶ等),接近的態度動詞(追いかける等),要求的態度動詞(頼む等)などに細分類する必要がある。 以上の細分類は,同様の調査を現代語について行った拙稿の細分類を参考にしている。 また,これとは別に,現代語における「と見られる」の使用に興味を持ったことから,現代日本語の報道文コーパスにおける「見られる」について調査し,他の推定表現(ヨウダやラシイ)と比較しながらその用法を考察した論文を投稿中である。
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