研究概要 |
幕末に来日した宣教師による日本語研究を日本ミッションという大きな枠組みからとらえなおすことを目的とする。来日極初期の宣教師の相互の連動と連環という視点に立ち,日本ミッションの手による日本語研究資料を中心に据えて,継承と伝播について調査・研究を行った。 本年度も引き続き,日本ミッションにおける日本語研究資料の基礎的な調査を行いながら,事象面の連動と連環を明確にするように努めた。 宣教師による日本語研究資料における活用語の表示方法について,調査を進めた。特に『日葡辞書』(1603-04)にみられる「語根,現在形,過去形」(「連用形,連体(終止)形,連用形+た」とも)の表示方法は19世紀の日本語研究資料にもまま見受けられる。これらの表示方法を動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の活用語にそれぞれ分類・整理し,考察を加えた。 「語根,現在形,過去形」(3形標出方式)といった表示方法は『和英語林集成』においていは,版を重ねる上で助動詞を除いた動詞部分について,2形標出形式に整理統合され,集約されていく。 また,大妻女子大学において,「19世紀日本ミッションにおける日本語研究資料の草稿について」(第2回草稿・テキスト研究所研究集会(「19世紀における<知>の移動と文化変容」))と題して,どのように日本語研究資料群が作成されていくのか,その背景にはどのような類書を参考としたのかなど,さまざまな日本語研究資料を挙げながら,個々の特徴,また全体にわたる共通性といったものをあつかった。 あわせて,データーベースの作成を継続している。この点については次年度中の完成を目指している。
|