研究課題/領域番号 |
22720186
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
又吉 里美 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (60513364)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 琉球方言 / 大山方言 / 日本語文法 |
研究概要 |
平成23年度における本研究の具体的成果内容は以下のとおりである。 1.大山方言の臨地調査を実施し、方言資料を収集した。自然会話の聞き取り、絵カードを用いた会話聞き取り調査をおこなった。 2.文法記述においては、動詞の形態についての整理を進めた。また、格助詞Nka、naka、niの、いわゆる標準日本語の「に」助詞相当の助詞の機能差について、津堅島方言との比較研究をおこなった。大山方言におけるNkai、Nka、kai、kaをNkaiの音声的バリエーションとして扱うと、移動の目的地、移動と待機場所、変化結果、動作・行為の対象、対応関係などを表す格助詞として表出する。さらに、存在場所の表示として、上記4つの助詞に加えて、nakaiの形式が併用される。これらは、機能面における使い分けの差異はほとんどみられない。一方、津堅島方言においては、移動の目的表示にはsi、移動と待機場所にはNka、変化結果にはsiとNka、動作・行為の対象にはsiとNka、対応関係にはni、存在場所にはNkaがそれぞれ用いられるなど、機能差が大山方言よりも明確に区別されていることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大山方言の文法記述を丁寧に、着実にする必要があると判断し、周辺地域での臨地調査より優先して大山方言の記述をまとめることとした。 ただし、本研究目的の一つである比較研究は津堅島方言との比較を優先しておこなうこととする。また、宜野湾市の3~4集落を中心として、特に文法の調査をおこなうよう、予定を組み、周辺地域との方言差異をいくらか明らかにするように努める。
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今後の研究の推進方策 |
大山の文法記述に関して、動詞のテンス、アスペクト、ムードを中心に引き続き調査研究を進める。また、それらと並行して、主節と従属節との関係を結ぶ際の形式の整理を進める必要がある。大山方言の文法記述を中心としながら、音韻、語彙などを含めて大山方言の概説書を作成し、大山方言の全体像をより明らかにするよう努める。 あわせて、本研究で録りためてきた自然会話をデータ化して資料として扱えるように整備する。
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