平成24年度は、大正期に日本語点字によってかかれた『点字大阪毎日』第1号から第27号までの撮影・データ化およびかなづかいについての調査をおこなった。 その結果、『点字大阪毎日』のかなづかいは長音表記に長音符をもちいる棒引きかなづかいをもちいていて、以前から指摘されていたとおり、墨字の公文書等が歴史的かなづかいでかかれていた時期に、日本語点字はすでにより表音的なかなづかいを新聞などで使用していることが実際の資料からも確認できた。 かなづかいの詳細は以下のとおりである。(1)長音表記はア列からオ列まで長音符を使用するいわゆる「棒引き仮名遣い」でかかれている。ただし、エ列字音語は「べいこく(米国)」のようにエ列のかなに「い」をそえるかたちとなっている。また、オ列長音にかんしても、「おおきい」「おおい」といった一部の語にかんして、長音符をもちいず、オ列のかなに「お」をそえるというかたちとなる。(2)助詞の「は」「へ」「を」はそれぞれ「わ」「え」「を」となる。(3)よつがなは字音語・和語ともに字音かなづかいをふくむ歴史的かなづかいに準ずる。 以上のことから、『点字大阪毎日』のかなづかいは現行の点字かなづかいとの共通点もかなり多くみられ、点字かなづかいの骨子が大正期にはすでにできあがっていたことがあきらかになった。しかしながら、よつがなや長音表記の一部に現行の点字かなづかいとは異なる点もみられる。今後、近代点字資料の文字・表記をさらに調査していくことで、点字かなづかいの成立および展開の歴史をあきらかにしていく必要があることがわかった。
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