本研究の目的は、本来容認されない(とされる)構文形式であるbecause of句主語構文(Just because of X doesn't mean Y)と副詞節による動詞由来派生名詞句の修飾現象(N adverbial-clause)が、類推によって実際には認可される現象を認知言語学的、とりわけ構文文法的視点から分析し、その成果を発表することである。3ヵ年計画の2年目である今年度は主に副詞節(=AdvC)による派生名詞句(=NP)の修飾現象の語法研究に重点を置いた。具体的には、前年度作成した副詞節による動詞由来派生名詞句の修飾現象のデータベースと関連する文献研究に基づき文法記述を行い、その成果を、奈良女子大学で行われた英語語法文法学会第19回大会で口頭発表した。本業績における主要な論点は以下の二点である: (1)当該構文[NP AdvC]は、意味的に類似したより規範的な3つの構文、すなわち、節(=S)を前置詞句(=PP)や副詞節(=AdvC)で修飾した構文と名詞句(=NP)をPPで修飾した構文を入力とし、[S PP]:[S AdvP]=[NP PP]:_という形式で表される類推により認可される。 (2)修飾要素として可能な副詞節と被修飾要素として可能な名詞句に関する意味的制約が、(1)より、自然な帰結として出てくる。 発表後には、聴衆より(批判的なものも好意的なものも含めて)数多くの意見を頂戴し、有意義なディスカッションを行うことができた。また、本発表を通して、前年度行ったbecause of句主語構文の研究と関連付け、翌年度の研究統合への足掛かりを作ることができた。
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