研究課題/領域番号 |
22720198
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
大津 友美 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 講師 (20437073)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 異文化間コミュニケーション / 対人関係 / 会話能力 / 相互行為能力 / 初対面状況 / 友人同士の会話 / 雑談 |
研究概要 |
平成24年度は、調査Iの成果発表、調査IIのデータ分析と成果発表、調査IIIのデータ収集・整備を行った。 調査Iは初対面の二者間会話の分析である。平成24年度には前年度までに行った分析結果について学会等で発表した。会話中に留学生が日本人学生の行動に何らかの好意的・非好意的評価を行うことがあるが、日本人学生がどう会話進行に関与するかが評価の焦点となることが多いことがこれまでの筆者の研究で分かっていた。そこで平成24年度には、そのような評価がいかに会話を通して共構築されるかについて論じた。この調査により、実り多い異文化間コミュニケーションのために、日本人学生と留学生の双方が身につけておくべき会話技術の一端を示すことができたのではないかと思われる。 調査IIは友人同士の雑談の分析である。前年度までに集めたデータの分析を主に行い、その成果の一部を発表した。特に、話の途中で留学生が適当な言葉を見つけられない時に起こる修復連鎖に注目して分析したところ、日本人学生の側が主要連鎖の話題の流れを優先させつつもどう修復を行っているか、また、親しい者同士の雑談の中でどう留学生の言語学習が起こるのかということを明らかにすることができた。本研究により、友人同士の雑談は、親しい関係の形成はもちろんのこと、日本語学習の機会としても意義のある場であることを例証することができたと思われる。 調査IIIは様々な出会いの場面における会話の分析である。平成24年度には、データ収集と整備を行った。収録会話の選定のために聞きとり調査を行ったところ、既に親密な友人関係を形成している相手との雑談以外では、学習活動場面(授業やグループ学習)での会話が多いということが分かった。そこで、ブックレポート活動での会話3時間分と、第二言語での会話練習を目的に集まった学生グループの会話1時間分を収録した。現在その分析を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、その目的を果たすために三つの調査を計画した。その当初の計画どおり、平成24年度までに、調査Iを終え、学会や学術雑誌で成果発表することができた。調査IIについても、データ収集と整備を既に終え、分析結果の一部を学会で発表することができた。また、平成25年度に行われるいくつかの学会に発表申請をし、採択されている。調査IIIについても、当初の予定通りデータ収集を終え、平成25年度にはその分析と研究の総括が行える見通しである。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題の推進のために、今後も引き続き研究協力者との連携を図りたいと思う。具体的には、分析に用いる資料を整理し直す必要が出てきた場合などには、研究協力者に依頼し、研究代表者は分析・考察に集中できるようにしたい。また、内容分析の手法などを用いた場合には、研究の信頼度を高めるため、複数の研究協力者に分析の補助を依頼するつもりである。
|