平成25年度は、調査IIのデータ分析の結果のまとめと成果発表、調査IIIのデータ分析とその成果発表などを行なった。 調査IIは、友人関係を築いている日本人学生と留学生によるインタラクションの分析である。両者の雑談の録音・録画データを用いて、その微細な特徴を観察した。その結果、日本人学生・留学生それぞれの会話のしかたによって、「友人同士のおしゃべり」が共に構築されていることが明らかになった。日本人学生は、日本語を第二言語として話す留学生が話についてこられているかを観察し、必要に応じて自主的に説明を加えていた。さらに、明示的に相手の理解を確かめることを避けることによって、「教える側」と「習う側」という上下関係が立ち現れるのを避け、「友人同士」という関係性を表示していた。一方、留学生は、話し続けることが難しい場面でも、視線や身振りといった非言語的手段を総合的に用いることで、長く話し続けることを実現していた。以上の結果については、平成25年度中に学会において3回成果報告を行なった。 調査IIIは、ブックレポート活動中のインタラクションの分析である。日本人学生、留学生を問わず、授業やグループ学習などが学生同士の出会いの場になることを考慮し、そのような場での留学生のふるまいを観察した。その結果、ディスカッションでは、互いへの助言や意見の表明といったことは積極的には行なわれず、互いの発表内容をめぐる事実確認のやりとりが大半を占めていることが分かった。さらに、そうなった原因として、ディスカッションの前に留学生によって行なわれた口頭報告の内容のわかりにくさがあると考え、分析を行ない、その結果についても学会発表した。 そのほかの実績としては、平成25年度には、平成24年度に行なった研究結果を2編の論文にまとめた。さらに、本研究の最終年度でもあったため、研究の総括も行なった。
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