本研究は、タイの日本語教育現場におけるタイ人教師と日本人教師の協働を質的に分析し現場に還元できる仮説モデルを提示してより良い協働現場づくりを構築する研究である。2009年度に代表者は早稲田大学特定課題助成金を受け、パイロット的調査を実施した.2010年度から2011年度の2年間をかけて、パイロット調査に続く本調査と追加調査を継続的に実施した。2010年度の本調査では、調査対象者4名に半構造化インタビューを実施して、協働体験の語りを採取し、文字起こしを行なってデータ化した。このデータを分析ワークシートを用いて、M-GTAの研究方法に沿って分析を行なった。分析の結果、抽出できた主要な概念をさらにカテゴリー化して、最終的には仮説モデルを提示した。(中山2010「タイの日本語教育現場における日本人教師の仕事観・指導観の変容プロセス-M-GTAによる仮説モデルの生成-」日本語教育学会研究集会第7回関西地区発表)2011年度は前の調査に引き続いて、新しい対象者への本調査と継続対象者への追加調査を実施した。また、研究の進展に沿って、当初予定していなかったタイ人教師への調査も組み込み実施した。本調査と追加調査を合わせると、日本人教師とタイ人教師で12名のデータを採取した。採取したデータを元に、前年度と同様に質的分析法を用いて、各概念の飽和化を確認したり、新しい概念の抽出作業を進めて、改訂仮説モデルを提示した。(中山2011a、中山2011d「タイの日本語教育現場で協働体験を持つ日本人教師の仕事観・指導観の段階的変容」タイ国日本語教育研究会年次セミナー発表)
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