研究課題/領域番号 |
22720208
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
小林 葉子 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (00352534)
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キーワード | 異文化接触 / 海外語学研修 / 民族アイデンティティ / 外国語学習動機(研究) / グローバル言語としての英語 / 英語格差 / ジェンダー / 日本人(アジア人)らしさ |
研究概要 |
過去3年間の研究(科学研究費補助金若手研究(B)「英語圏語学学校での民族交流と留学成果の国際比較:日本人の個人的留学動機とその影響」)を土台にし、発展させている本研究2年目として、以下の研究を行った。 1. 2年目の研究調査として、国内外の文献収集、文献整理・言説データ分析準備を行った。 2. 1年目の研究成果の発表と2年目の研究成果の中間発表とし、論文執筆と学会発表を行った:国際ジャーナル論文掲載2件、投稿中論文2件、国際学会発表1件、国内学会発表1件、発表応募準備2件。 具体例としては、文献と言説データを基に、「アジア人学生」学習態度を他者化・問題視する応用言語学研究を概観した上で、中国の台頭に伴う世界勢力地図の変化が、今後応用言語学研究の「外国語学習動機」研究や「日本人(アジア人)らしさ)」言説にどのような影響を及ぼすのか、という研究テーマを追究した。これまでは多くの場合、日本の学生や社会(人)にとって「外国語学習」は「英語学習」を意味していたが、言説データ分析(予備調査段階)から、(1)「中国語」と「韓国語」がそれぞれビジネスとポップカルチャーの分野で出現頻度が急増していること、(2)構築されつつある新たな言語イデオロギーが「英語イデオロギー」に競合する領域が生まれつつあること、などが明らかになった。これらの研究結果を踏まえ、「外国語学習動機」研究(語学留学研究を含む)が言語別の縦割り研究や議論から脱却し、「英語」とそれ以外の外国語の「言語イデオロギー」の要素を総合的に研究していく必要性を論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究発表として雑誌論文投稿そして学会発表のいずれとも、ある程度の成果を示すことが出来ている。特に今年度は、応用言語学では最高ランクのジャーナルであるApplied Linguistics(オックスフォード大学出版)に、初めて論文が採択された。これまでの科研費を使っての研究成果が評価されたせいか、同じくApplied LinguisticsのEditorから、初めて書評の招待を受けた。現在も国際ジャーナルに投稿中の論文が2件あり、来月(2012年5月)までには学会発表2件(国際学会1件・国内学会1件)を応募する予定である。全体として、おおむね順調に研究は進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には研究計画に基づいて、研究を推進していく予定である。新年度の前半では、前年度に行った文献調査で収集した言説データをデータ分析していく(統計ソフト利用)。そのデータ分析結果を踏まえ、後半の研究方向を見極めて行くことになる。可能性としては、さらなる文献調査とともに、旅費を使ってのインタビュー調査やフィールドワーク調査をしていくこととなろう。同時に、これまで科研費を使って発表してきた研究成果(主に国際ジャーナル論文)を、日本語にてまとまる作業を続けて行く予定である。
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