本研究は、韓国人と日本人の相手国民に対するイメージが、両者の対人接触の場面で、相手に対する先入観として作用しうる側面に注目し、韓日大学生の相手国民に対するイメージの実態と形成メカニズムを明らかにした上で、それに基づいたイメージ尺度を開発することを目的としている。平成23年度は、日本人イメージと韓国人イメージの仮尺度をそれぞれ作成し、韓国と日本の大学で質問紙調査を行い、両イメージを測定するためのイメージ尺度を抽出した。日本人イメージについては、内容調査と構造調査の結果から導き出した「侵略者・支配者」「気遣う原則主義者」「自己表現者」「非自己開示者」「働き者」といった5つの視点それぞれに対して、その下位カテゴリーを構成する自由記述の中で出現頻度の高かった項目を8つずつ選定し、日本人イメージの仮尺度(40項目)を作成した。質問紙調査は、2011年11月に韓国の6大学で実施し、回答者(661名)の評定結果について因子分析と信頼度分析を行い、韓国人大学生の日本人イメージを測定する尺度を見出した。韓国人イメージについては、日本人イメージと同様に「気さくな隣人」「熱い表現者」「想い強き者」「反日家」「有能な勤勉者」の5視点それぞれに対して、出現頻度の高かった自由記述項目を8つずつ選定し、韓国人イメージの仮尺度(40項目)を構成した。質問紙調査は、2011年12月に日本の7大学で行い、654名の回答を分析の対象とし、因子分析と信頼度分析を通して韓国人イメージの尺度を導き出した。本研究で見出した韓日の相手国民に対するイメージ尺度は、今後韓日の相手国民に対する認識がどう変化していくのかを検討するためのツールとして用いられる。なお、独自の内容調査から尺度作成に至るまでの本研究の手順は、今後の外国人イメージの尺度開発研究にも大きな示唆を与えるものと考えられる。
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