研究課題
日本人英語学習者のスピーキング能力がどのように伸びるかについては、中学校・高校・大学において研究されてきたが、まだ一定の傾向が見えてきていない。本研究は、先行研究の不一致を説明し、発達にどのようなパターンがあるかを吟味するために、メタ分析を用い、日本人英語学習者のスピーキング能力がどのように伸びるかについて、先行研究を総括することが目的である。メタ分析とは、関連した先行研究の知見を統計的に統合する手法(Cooper, Hedges, & Valentine, 2009)である。本研究ではメタ分析を用いることにより、複数の先行研究における結果を統計的に統合し、全体的な発達傾向だけでなく、中高大での違い・指導方法の違いなど、発達に影響すると思われる要因ごとに発達パターンを吟味する。2年目である本年度は、メタ分析の手順の一部である、(a)問題の設定、(b)文献の収集、(c)収集した先行研究の吟味と必要な情報のコーディングを行うために、以下主に4点を行った。第1に、先行研究を包括的・系統的に収集する。国内外の主要ジャーナルを検索するとともに、本やデータベースを使用した。特に本年はLinguistics and Language Behavior Abstracts(LLBA)を用い、検索を行った。第2に、収集した文献を読み、メタ分析に必要な情報(例:平均値・標準偏差)を抽出し、効果量:を算出した。必要な情報が掲載されていない場合には著者に直接問い合わせた。スピーキング能力の発達の違いに影響すると考えられる要因(例:対象者は中学生か高校生か大学生か、分析指標は何か)を整理し、入力した。第3に、申請者が先行研究で使用した発話データを、他研究者自身が先行研究で使っていた指標で再分析した。第4に、メタ分析の最新の手法をさらに取り入れ、より厳密な分析ができるよう、学会や論文で最新の研究動向を学んだ。
2: おおむね順調に進展している
ほぼ計画通りに、(a)問題の設定、(b)文献の収集、(c)収集した先行研究の吟味と必要な情報のコーディングが進んでいるため。
本研究を効果的に進めるために、依頼可能な範囲の作業(指標の再分析のための書き起こしとデータ分析・整理、分析の整理)については、研究補助者に依頼する。効率が上がるだけでなく、複数の目が入ることで入力ミスなども防げ、研究の質向上に役立つと考える。
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Japanese Journal for Research on Testing
巻: 7巻 ページ: 99-119